環境アカウンタビリティーと環境報告書

連載:「企業と環境」のホット・トピックス(その6)

上村光弘

 皆さんは環境報告書というものを手に取ったことがあるだろうか? これは、企業や自治体などが資源やエネルギーの消費・廃棄物の排出や汚染でどの程度地球環境に負荷を与えているか、また、その改善の進み具合やコストの掛け具合といった環境情報を報告書の形でまとめたものである。

 現在日本では300社程度(非上場企業はカウントに含まない)が環境報告書と称するものを作成・公開している。広報や環境担当部署に問い合わせれば一般にも入手可能である。また、ホームページで公開している例も多い。また、工場や事務所といった単独の事業所ごとのサイトレポートを作成する企業も増えている。

●環境アカウンタビリティーという考え方

 なぜ企業は環境報告書等を通じて環境情報を公開しなければならないのだろうか?

 企業はその活動に伴って資源を消費したり汚染物質を出したりする。地球環境が人類の共有財産だとすれば、当然のこととして企業は市民に対して地球環境に関連する説明の義務を負わなければならない。これが環境アカウンタビリティーという考え方である。また、環境問題に対処すべく企業が投資したとすれば、このコストは最終的に株主や消費者が負うことになり、このことによっても企業は説明責任を負うことになる。

 一方、私たちには企業が出した報告書の内容を評価しレスポンスを返す必要があるのではないだろうか。レスポンスというのは報告書に対する直接のコメントに限らず、投資であったり購買行動であったりする。出した報告書に何の反応もなければ、まじめに取り組む気が失せるし、環境報告書もPR媒体になりさがってしまうかもしれないのだ。

●現状と課題

 さて、環境報告書を出さなければならない法的根拠は、現在の日本では存在しない。あくまで各社の自主的取組みである。デンマーク等ヨーロッパの数カ国が限定した形で作成を法的に義務付けているだけである。義務化の声はあるものの、財務報告書などと違い環境に関係する要素は複雑なので、一部を除き統一した規準を作成するのが難しいということらしい。まだまだ試行錯誤の段階と言えるだろう。実際の環境報告書を見ても、それこそ企業宣伝にとどまっているものから、企業にとってマイナスになる情報まで隠さず公開している例までピンキリである。

 環境報告書はPR文書ではない。あくまで説明責任を果たすためのものである。そのところを勘違いしないで、より良い報告書を作成してほしいものだ。

 12月22日締め切りで、環境庁が「環境報告書ガイドライン公開草案」についての意見募集をしています。興味のある人は環境庁のホームページを直接見てください。

●参考文献

1.『環境情報ディスクロージャーと企業戦略』、國部克彦・角田季美枝編著、東洋経
済新報社、1999年。
2.環境庁のホームページ http://www.eic.or.jp/

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