連載:「企業と環境」のホット・トピックス(その2)
上村光弘
土曜講座でも,何度か金融の事をとりあげた講座をおこなっています.私達が銀行や郵便局に預けたお金が,企業に貸し出されたり,財政投融資という形で国の資金として利用されています.これまでほとんど考えてもみなかったこと,預けたお金がどのように使われているのかということに,私達はもっと意識的にならねばならないということでした.
エコファンドの一番の功績は,お金の投資先を検討するにあたって,企業の環境への取組みを評価対象にして投資するという見方を,資産の運用についていままで関心のなかった人々に対して,また投資対象である企業に対して広くアピールした点にあると言えるでしょう.
●エコファンドとは
エコファンドとは投資対象の環境面を考慮したテーマ型投資信託の一種です.投資というと一般的に株式や債券を買うことなのですが,個人が売ったり買ったりでうまく運用するのは大変です.そこで,資金を運用会社に「信託」してプロに「運用」してもらうのが投資信託です.通常,何種類かの株や債券などをセットにしてリスク分散した運用をします.
エコファンドは投資対象の株を選ぶときに,財務の他に,環境関係のビジネスをしているとか,環境にどれだけ配慮した経営をしているかといった点を選択条件としている投資信託です.日本では昨年8月に初めてエコファンドと銘討った商品が登場しました.まだ1年たっていない「ほやほや商品」です.
こういった選択基準のファンドが商品になるのは,倫理的な意味から投資先を選択したいという社会的責任投資(SRI:Social Responsible Investment)の考え方が背景にあります.また,環境に配慮しない企業は社会的に淘汰され,長期的にみれば収益が低下するし,投資リスクも高いとする経済合理的な見方もあります.
●エコファンドの現状
現在5つのエコファンドがあり(参考文献1参照),純資産総額は2000億円以上の規模になっています.投資家としては個人,それも女性が多いというのが特徴といわれています.
どのような基準で環境的側面を評価するかというのは,投資会社のノウハウでもあるわけで全面的に情報開示されているわけではありません.しかし,例えば環境マネジメントシステムを導入している点を積極的に評価したり,「たばこ」を主たる商品にしている企業は投資対象としないなどといった点を選択基準として取り入れているようです.
各ファンドの組入れ銘柄は上位10社〜20社程度を月報などで開示しています.全般的に見て情報通信関連株(ソニーやNTTドコモなど)が共通して組み入れられています.
●エコファンドの課題
大型の情報通信関連株は環境的に見ても優良そうだというのは,その通りだと思います.しかし,ファンドの安定性を確保するために,安易に元気な会社を組み入れているのではないかという気もします.もちろん投資である以上,損はできませんから理解はできますが,どのような基準で環境側面を評価しているのかは,投資信託という性格上,十分に開示されているわけではありません.この点での透明性,信頼性の確保が最も重要な課題ではないかと思います.
将来的にはエコファンドはなくなるのが理想ではないでしょうか.あえてエコファンドと銘打たなくても,環境の視点,もっと広く倫理的視点が自然にどの金融商品にも入っているのが普通になるように.
●参考文献
1.『特集/急速に拡大するエコファンド』 資源環境対策 2000年4月号,公害対策技術同友会
2.ソーシャル・インベストメントとはなにか −投資と社会の新しい関係−,水口剛他,1998,日本経済評論社
3.エコバンク,金岡良太郎,1996,北斗出版
4.グリーン・ポートフォリオのすすめ,バルディーズ研究会グリーン・ポートフォリオ・プロジェクト・チーム,1994
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