まず自分で勉強してみる 「電磁波プロジェクト」に見る市民科学実践のヒント

薮玲子(電磁波プロジェクトメンバー)
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●市民科学者への第一歩!? 〜プロジェクトに入る〜

 市民科学者とひとくちに言っても、高木仁三郎さんのようにプロの科学者から「市民科学者」になった方もいますし、市民科学研究室のメンバーにも、企業の中で科学技術の開発にバリバリ取り組んでいたけれど、ふと社会の科学技術のあり方に疑問や危険を感じて、すぱっと会社を辞めて、市民の立場で活動している人も多いです。私の場合は、科学に関してはズブの素人だけれど、関心があって勉強に取り組みました。市民科学研究室の良さは、そういう素人でも仲間に入って勉強できること。それと、私は電磁波について研究していますが、その他にもいくつもプロジェクトがあって、いろんなおもしろいことに取り組んでいる人がいて、そういう多彩な人たちと顔を合わせてわいわいと議論しあえることです。「何かひとつ興味をもって少し深く勉強してみること」と「いろんな分野の人たちと交流をもつこと」……市民科学的な視点を養う上で、私は、この2つがとても大切だと思っています。

 「 電磁波プロジェクト」が発足したのは、2000年8月です。市民科学研究室のプロジェクト第1号でした。「電磁波の知識はあまりない素人」を対象に募集したところ、高校生や大学生を含む10名ほどが集まりました。携帯電話を使っている人も多く、電磁波の健康影響を不安に感じて参加した人がほとんどでした。私は電磁波への興味というよりはむしろ、「素人が集まって、一から勉強する」ということに大いに魅力を感じて、それで参加しました。

 では、一からどうやって勉強したか? 市民科学の実践のヒントを紹介したいと思います。

●素人が一から電磁波の勉強する 〜基礎知識の難関を超える〜

 まず最初に、電磁波の入門ブックレットをテキストにして、電磁波の基礎知識の勉強に取り組みました。実はこれが一番の難関でした。「電磁波って何?」と本をひも解いても、いえ、読めば読むほど頭がこんがらがって、分からなくなるのです。もし一人で勉強に取り組んでいたら、すぐに挫折していたでしょう。

 幸いなことに、電磁波問題のNPO「ガウスネットワーク」の代表である懸樋哲夫さんや科学に強い上田昌文さんが一緒でしたから、この2 人の力強いサポートのおかげで、とにかく最初の難関をなんとか越えることができました。

●問題意識を持つ 〜「おもしろい!」「変じゃない?」と思う〜

 私が「電磁波っておもしろい!」と思ったのは、「シューマン共振電磁波」を知ったことがきっかけです。

 地球の表面にある自然界の電磁波が、地球の大きさに共鳴しあって強いピークをみせることを「シューマン共振」と呼んでいます。ピークを見せる周波数は、7.8サイクル、14.1 サイクル、20.3サイクル、26.4サイクル、32.5サイクルです。

 いっぽう、人間の脳からも微弱な電磁波、つまり脳波が出ていて、脳の活動状態によって特有の周波数を持っています。睡眠時にでるシータ(θ)波とデルタ(δ)波は7サイクル以下、リラックスしている時にでるアルファ(α)波は8〜14サイクル、ベータ1(β1)波は14〜20サイクル、ベータ2(β2)は20〜32.5サイクル、それ以上がガンマー(γ)波です。

 もうお分かりだと思いますが、「シューマン共振電磁波」と「人間の脳波」は驚くほどの対応を見せています。これは生命というものが、太古の時代から地球の電磁波をゆりかごにして生まれてきたことを想像させます。「なんておもしろいんだろう」と思いました。

 ところが、ここ100年ばかりの間に、人類はこれまで体験したこともない人工的な電磁波を大量にあびることになったわけです。

「これってやばいんじゃないの?」

 現に、職業的に電磁波をたくさんあびる人たちには悪影響が出ているという研究がいくつもあります。また、子どもの性比を調べた研究では「電磁波をたくさんあびる職場の人たちからは女の子が生まれやすい」という結果が多く見られています。そういえば、「女の子ばかり生まれる」というジンクスがある職場があります。しかも、その職場は電磁波をあびることの多い職場です。

「やっぱりなんか変だぞ!」

 これが私の出発点でした。

●世界の研究動向を知る 〜分厚い報告書に取り組む〜

 2000年4月、英国で「携帯電話に関する独立した専門家委員会」が報告書「携帯電話と健康(Mobile Phones and Health)」(通称スチュアート・リポート)をまとめました。これは携帯電話の電磁波に関して、世界に先駆けて「予防原則」の考え方を表明したことで高く評価されました。2000年6月にはザルツブルグで開かれた「携帯電話基地局の健康影響」に関する国際会議が開催され、世界の著名な専門家たちが電磁波の危険性を報告しました。その会議に参加した懸樋さんのもとには会議の議事録が送られてきました。

 入門ブックレットを終えた後、われわれはスチュアート・リポートとザルツブルグ議事録を読むことにしました。これは世界の電磁波問題の動向や最先端の研究を知るのにとても役立ちました。電磁波に関する専門用語がたくさん出てきて、しかも英語ですから苦労しましたが、「論文を読む」ことはその後の勉強に必須でしたから、この時、背伸びをしてみんなで分厚い報告書に取り組んだ事は、よい訓練になりました。ザルツブルグ議事録のほうは翻訳したものを冊子にまとめました。

 今や世界の研究やニュースは、インターネットで簡単に入手できます。私たちはそれらを常に追いながら、重要なニュースや論文は、「どよう便り」(4月より『市民科学』)やガウスネットの「がうす通信」で紹介しています。

●自分たちで調査をする 〜案ずるより生むが易し〜

 半年ほど基礎的な勉強をした後、自分たちでも実際に電磁波の計測をしてみようということになり、東京タワー周辺を調査することにしました。電磁波は計測器さえあれば、誰でも計測することができるのです。さいわい80万円もする高周波測定器も借りることができて、
東京タワー周辺の255箇所で計測を行ないました。この測定には東京理科大と筑波大学の学生さんが2 人参加しました。

 結果は、場所によっては海外の規制値を上回る地点もあり、新聞でも取り上げられました。電磁波の本でもこの調査結果が紹介されています。

 計測結果の分析では専門家に教えを請いに行ったり、小児白血病や出生性比との関連を見るために港区の保健所で過去の記録を書き写したり、疫学の勉強をしたり…。東京理科大の学生さんは上田さんと一緒に調査データを疫学的な手法でまとめて、論文を書き、学会で発表しました。

 東京タワー電磁波調査で自信を得た私たちは、2002年に消費者生活研究所から助成金をもらい、携帯電話とその基地局についての調査に取り組むことにしました。これには、周波数帯ごとの電磁波を分析できるスペクトルアナライザーという高価な器械が必要でした。この時、三重県にある計測会社の社長さんが私たちの活動のことを知って、「市民がそんなことに取り組んでいるんだったら協力しましょう」と、計測器の貸し出しはもとより、測定のプロである社員の方を2 名も派遣してくださって、一緒に計測することができました。

 測定場所は国立市を選びました。そこには携帯基地局の問題に取り組んでいる住民のグループがあって、携帯電話基地局やPHS のアンテナの設置場所をすべて把握していて、計測場所の選定や事前の計測許可など、そういう面倒なことを全部やってくださったのです。こうして、いろんな人の協力を得て、5つの地点で電磁波計測をすることができました。

 自分たちに少々むずかしいと思っても、「やってみよう!」と思って歩き出せば、道は必ず開ける。案ずるより生むが易し!という経験をたくさんしました。

●大学生が大活躍! 〜学生の身分は大いに活用すべし〜

 助成金の研究では、携帯電話の人体影響に関する1300人を対象にしたアンケートも実施しました。芝浦工大の大学院生のメンバーが、結果をきれいにまとめてくれました。先の東京タワーの調査の時にも、大学生が活躍しましたが、大学生や大学院生たちは、パソコンでのデータ処理もうまいですし、資料を入手したり、ちょっとした調査をする時も、学生の身分のほうが依頼や交渉がしやすいことが多いです。

 図書館の盗難防止ゲートの電磁波測定に取り組んだ時も、学生さんたちが「自分の大学の図書館で計測を依頼してみる」と交渉してくれました。彼らは結果をすばやくまとめて報告書を作ったり、小中学生向きに図書館ゲートに関する可愛いパンフレットを作成したりと、そういうことが実にうまいです。

 大学祭に参加したこともあります。メンバーに東京理科大の学生さんが入っていた2001年と2002年に、「理大祭」のサイエンス夢工房という科学実験ブースに参加しました。家電製品をいろいろと並べておいて、通りがかりの人に電磁波の測定器で電磁波計測をしてもらったのです。携帯電話をもっている人には携帯電話の電磁波を測ってもらいました。携帯電話はメーカーや機種によって出る電磁波の値に大きな差が見られます。ここでの計測値はその後の研究で役立ちました。

 新宿区が主催する小学校高学年対象の科学教室「レガス」や高校で電磁波の授業をすることもありました。そういう時には必ず大学生や大学院生のメンバーが入ります。子供たちから見て「お兄さん」や「お姉さん」のような人がいると、とても打ち解けやすく、生徒の反応も良いからです。

●市民と専門家との連携〜市民の手で国際フォーラムを開催〜

 2001年6月の英国エコツアーでは「パワーウォッチ」の代表アラスダー・フィリップスさんに、2002年9月にはニューヨークで「マイクロウェーブ・ニュース」のルイス・スレシンさんに会いました。二人とも電磁波リスクを世に問うバリバリの活動家です。

 電磁波の健康リスクに取り組んでいる専門家は世界的に少なく、それは国や産業界からの圧力を受けやすいことが一因です。そこで、電磁波リスクを専門としている人たちは、ある意味で市民科学者と言える人たちが多く、連帯意識が強いです。会った瞬間から、「我らは仲間!」というような感じでした。

 2002年5月にガウスネットが東京で「国際フォーラム」をした時にも、国内外の6人の専門家と接することができて、貴重な体験をしました。日本からは荻野晃也さん(当時京都大学)と山崎洋さん(元WHO国際がん研究機関研究員)、海外からはニュージーランドのニール・チェリーさん(リンカーン大学)をはじめ、米国、英国、イスラエルの専門家が参加しました。電磁波プロジェクトはスタッフとして準備に関わりました。海外ゲストとの交渉、レジュメやパワーポイント作り、当日の進行などです。もちろんガウスネットという基盤があって、多くの方の協力があって成功したわけですが、市民の手でこんな充実した国際フォーラムを開催できることがわかりました。

 現在、ドイツで電磁波問題に取り組んでいる日本人の永瀬ライマーさんは、電磁波プロジェクトのメーリングリストに参加してくださり、ドイツの情報を送ってくださっています。電車内の携帯電話の電磁波の反射について研究された東北大学の本堂毅さんとも連携して、電車内の携帯電話の使用の問題を考え、鉄道会社に働きかけたりもしています。

 最近は市民が参加できる研究会も増えてきました。京都大学の村瀬雅俊さんが主催されている電磁波に関する研究会には、一昨年は2名、昨年は5名が参加しました。市民科学研究室のメンバーである東京理科大学の加納誠さんがやっていらっしゃる環境物理学会も、市民との連帯を大切にされています。大学が市民に開かれる動きは増えてゆくと思います。
 
●住民運動との関わりと国へのアピール 〜社会問題として考える〜

 私たちは電磁波に興味をもって基礎から一歩一歩勉強して、いろいろな調査をしてきましたが、「突然、家の前に基地局が建つ」とか、「高圧線の下に住んでいて、健康被害が心配」とか、そういう事態が自分に降りかかって、電磁波問題に向き合う人のほうが、実はずっと多いのです。そういう人たちと一緒に問題を考えることも増えてきました。こうなると、電磁波の健康影響だけではなく、基地局の設置手続きの問題や景観の問題など社会的な要素が強くなってきます。そこで、法律関係の専門家など他の分野の専門家との連携も必要になります。それから、国の規制や政策はどうなっているんだろう、海外ではどうだろうと調べたりします。日本が政策面で遅れていると思う点があれば、省庁に出かけてアピールすることもあります。役人の人たちと膝を交えて、「海外ではこんな取り組みがされています。日本でもぜひやってください」と言うような具体的な話をします。

 以前、図書館の盗難防止ゲートの電磁波によると見られる健康被害を受けた図書館の司書の方と一緒に厚生労働省に行ったことがあります。私たちは図書館ゲートの電磁波測定をしていましたので、そのデータを携えて行きました。きちんとした調査データがあるかないかでは、アピールの度合いがずいぶん違うと思います。
 
●元の論文をたどる 〜自分の目で確かめる〜

 先日、IHクッキングヒーターの展示会に行って、「電磁波の影響が心配なんですが……」と言ったら、「安全性は保証されています」と言われました。安全性の根拠はと訊くと「国の基準値を守っている」とか「信頼のおける研究機関で実験ずみ」とか……。私は「どんな研究がされ、どんな論文が出ているのかを教えてほしい」と言いました。元の論文を辿ることは市民科学の原点だろうと思います。

 日本でも国が巨額の研究費をかけて電磁波の健康影響に関する研究をしています。たとえば、かつての通産省が電力中央研究所に委託して1995年と1996年に行なった電磁波の胎児への影響を見る研究があります。妊娠したラットに電磁波照射される実験をしていますが、1997年5月1日の朝日新聞には、その調査結果を「電磁界が動物の生殖に影響を及ぼすデータは得られなかった」と紹介しています。

 ところが通産省の報告書を入手してみると、疑問点がいくつも目につきます。たとえば実験に使ったラットの数がどこにも書いてない。10匹なのか、100匹なのか、1000匹なのか?これは重要なポイントです。おそらく「書けなかったんだろう」と思います。ラット数が恥ずかしいほど少なすぎたのかもしれないし、意地悪く想像すれば、被験ラットのすべてのデータを報告していないのかもしれない。そんなことがないなら、ちゃんと書くはずだと思うのです。

 また「電磁波曝露群の体重に、有意な差が見られる」という結果がでているのに、「これは偶発的な統計有意差と考えられる」と考察している。しかし、新聞記事ではそんなことはいっさい書きませんから、「電磁波の胎児への影響はなし」ということだけが一人歩きしてしまいます。これが国が何億もかけた研究の報告書とそれを報道するマスコミの実態です。元の論文を読むと、それが見えてきます。

●情報公開法を利用する 〜審議会で意見を述べる〜

 2001年4月1日に日本の情報公開法が施行され、市民は行政文書の開示を請求することができるようになりました。これを利用しない手はありません。

 国立市の携帯電話基地局の調査の時、基地局の情報を情報公開法で取り寄せました。ところが監督官庁の総務省から送られてきた文書は、基地局の設置場所の情報が「墨塗り」されていました。電磁波測定には基地局の正確な位置を知る必要がありましたし、この情報がどうして市民に非公開にされるのか納得できません。そこで「不服申し立て」をしましたら、内閣府情報公開審査会で審議されることになりました。審査会には、携帯電話会社4社(NTTドコモ、KDDI、ボーダフォン、ツーカーセルラー)が参考人として加わることになりました。

 総務省が「情報を非開示とする理由」を審議会に提出し、それに対して、不服申し立て人と参考人が意見を出し、それらの意見を元に審査会で審議され、答申が出る。いわば、こちらが提議をした問題に対して、総務省(国)と携帯電話会社(企業)と市民が意見を戦わすわけです。基地局について国や企業がどういう見解をもっているかがよく分かりました。

 総務省の提出書類を読むと、それを書いた担当の方はいろいろと勉強されて苦労して書かれたのだろうなあと目に浮かぶようでした。たとえば、非開示とする理由のひとつに「情報開示によって破壊活動をまねく怖れがある」という点があったので、こちらの反論の最後に「そんな例は聞いた事はない」と書いたら、総務省は、海外の小さな事件を調べて「いついつにこういう事件がありました」と返してくるのです。「お主、なかなかやるなあ……」と言う気分でした。審査会では「非開示が妥当」という答申がでて、これは思っていた通りでしたが、予想以上の収穫がありました。

●議員会館での勉強会 〜市民サイドの議員を選ぼう〜

 以前、民主党の佐藤謙一郎さんが、毎週木曜の朝に議員会館の一室で「環境白書を読む会」というのをやっていらして、上田昌文さんや森元之さんと何度か参加したことがあります。環境白書を書いた担当者を招いて話を聞き、質疑応答する勉強会なのですが、佐藤謙一郎さんのお人柄もあって、担当者もきわめて率直に本音で話しをされるのです。これはとても良い試みだなあと思いました。

 国会議員と官僚と市民が対話できる場があれば、市民の声が国の政策に反映されやすくなります。市民側にたってくれる国会議員を選んだり、市民の中からそういう人を出すことも大切だと思います。市民科学研究室のメンバーの小林一朗さんが昨年の参議院選挙で「みどりの会議」から出馬されました。惜しくも敗れましたが、次の選挙で小林さんが当選したら、ぜひ議員会館で毎週1回は市民参加の勉強会を開いてもらいたいと思っています。
 
●生活の中で学べる そんな生活をしたい

 先日、IHクッキングヒーターの展示会に行った時、非常に気になったことがあります。電磁波のこともありますけれど、「火がなくても煮炊きが出来る」というのを見て、「そんな生活の中で育った子供は、火というものをどういうふうに理解するんだろう?」と思いました。人類は火を扱えるようになって、進歩したと言いますから、火のない生活は退化をもたらすんじゃないかと本気で思いました。

 さらに「どうして多くの人はそういう発想をしないのだろう?」と不思議でした。コマーシャルとか企業の戦略にうまく乗せられて、しらずしらずのうちに洗脳されているのではないでしょうか。

 私が電磁波の勉強をしながら培ってきたのは、こういう商業主義に踊らされることなく、「これって変じゃない?」と思える感性なのだと思います。「安全性は保証されています」と言われた時、「どういうふうに検証したの?」と思う感覚です。それこそ市民科学的な感性であり、感覚です。そういう質問をする市民が増えたら、世の中はずいぶん変わってくるだろうと思います。

 先日、友人から聞いた話ですが、携帯電話を使う若者の間で、若年性健忘症が増えているのだそうです。私は、一瞬、電磁波のせいかと思いましたが、そうではなくて、日常生活に必要なことをなんでも携帯電話に覚えさせておくので、頭で記憶することをしなくなったせいとのこと。元の論文を辿ったわけではありませんけれど、ありえる話だなあと思いながら聞いていました。

 将来は、指先でボタンを押すだけで、頭で考えなくても、あとはすべてコンピューターがやってくれる時代がやってくる。それが「夢の生活」みたいに言われています。でも、これまで「夢の〇〇」と言われたものに、ろくなものはない。20世紀の科学技術の歴史を見れば分かります。

 昔の主婦は、火をおこしたり、魚をさばいたり、そういう生活の中から、自然の摂理とか物の道理というものを身につけていったのだと思います。科学知識はなくても知恵のある人が多かった。 私は火はおこしませんが、せめて土鍋でご飯を炊くとか、それくらいの生活は手放したくないと思っています。いったん手放したら最後、引き返えすことがむずかしいからです。

 少しだけ後ろを歩むことで、危険性を回避できる可能性がずっと高くなるように思えるのです。

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