市民科学研究室NPO法人化記念シンポジウム報告 「次世代環境づくりと市民科学」

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 4月2日(土)NPO法人化記念シンポジウムを開催いたしました。「風の舞う広場」の温かいアットホームな雰囲気の中、はじめに、代表の上田から挨拶があり、市民科学研究室ともつながりの深い3人のゲストの方に「次世代環境づくりと市民科学」をテーマに講演をいただきました。


■講演I :「足し算の栄養学から関係性の食学へ
        大谷ゆみこ氏(「いるふぁ」代表)

 大谷さんは「食」は一番身近な環境問題であるとおっしゃいます。食べ物と体と料理の関係を自然科学の視点で見つめ直すこと、ピースボディー&ピースアースな「未来食」を提唱していらっしゃいます。食源病が蔓延している現代、栄養学という視点だけでは足りない食べ物、体、料理、自然、社会、歴史や風土などを関係性という視点で総合的に捉え、私たちの「食」を考え変えていく必要があるといいます。新たな食の社会的規範の整備や多角的な視野、多角的な分野の連携が重要であるといいます。食の様々な問題の相互関係を科学的な視点や分析を導入し、具体的な解決をはかっていくことが食卓変革の社会化につながるということです。


■講演II: 「出産科学技術とインターネットの役割」
        鈴木賀世子氏(「ベビーコム」代表)

 「babycom」は妊娠、出産、育児情報を発信するサイトとして1996年にスタートしました。お産は戦前までは祖母から母へ、そして子へ伝えられてきた文化だったものが、戦後、出産は病院にて医師のもとで行なわれる、医療の一つになってしまいました。ところが女性のライフスタイルや妊娠、出産、育児の考え方が多様化する中で、医療に限らない情報が求められているといいます。「babycom」では利用する人にとって必要な情報を客観的に、また、独自の視点や基準を作り掲載しているそうです。医療関係者のかたの中には妊婦さんに医療を受ける上で必要な知識を勉強してほしいと考えている人もいるそうです。そこで「babycom」のサイトでは産科医療の専門用語を解説するページや、妊娠・出産前に関心を持ってもらうためのページ、情報を集めるだけではなく、自分の体をつくるためのページなどもあります。市民がどのように情報を発信できるか、市民の声をどのように行政に届けるか考え、サイトをつくっていきたいとお話しくださいました。


■講演III: 「メディアを読み解く、つくりだす」
    林衛氏(NPO法人「サイエンスコミュニケーション」理事)

 林さんからは新しいサイエンスコミュニケーションの可能性をお話していただきました。現在は科学者から市民へ一方的に情報が流れているといった構造ですが、双方向のコミュニケーションのためには何が必要であるのか。O-157事件やBSE問題からもわかるように、行政や専門家、ジャーナリズムが果たすべき責任を果たさず問題が生じてしまった事例もあります。消費者の中には短絡的に行動に移さず、情報を収集し、判断する人も多いので、従来の「欠如(啓蒙)モデル」(市民には知識や情報が不足しているので、その無知を改めていくことが大事とする考え方)は有効でなく、ジャーナリストの側が「本質的な難しさ」から逃げずに、問題の重要性を表現し、自由に科学コミュニケーションを図ることが大切だと強調されました。市民が科学コミュニケーションに参加することで難しい問題を興味深く感じることができ、また科学者も「わかるように伝える」ことの実践も必要になり、意識の変化につながるといいます。この新しいコミュニケーションの形は市民にも科学者にも効果があると考えられます。市民科学研究室の担うべきテーマがあるのではないでしょうか、とお話しくださいました。


●プロジェクト報告
 
■科学館プロジェクト:「市民のための「使える」科学館を」

 古田リーダーから、生活する人すべてに愛されるための科学館のための提案をしていただきました。


■ナノテクリスクプロジェクト:「市民科学の最新テーマとしてのナノテクリスク」

 藤田リーダーから、一般的ではない「ナノ」の説明から始まり、ナノテクの開発や技術を使った商品を紹介され、身近なところで使われていることがわかりました。また、リスクや社会的な影響などを説明していただきました。

■電磁波プロジェクト: 「電磁波プロジェクトの取り組み」

 メンバーの藪さんから、これまでの電磁波プロジェクトで行った東京タワーや携帯電話基地局を調査した時の報告や今後はIHクッキングヒーターを取り上げて活動をすることなどを話していただきました。なお、各プロジェクトの活動概要は「市民科学第1号」に掲載してあります。


●総括報告:上田昌文(市民科学研究室・代表)「市民科学研究室の可能性「社会技術」研究の取り組みを例にして」
 詳しくは「市民科学」での連載で紹介していきます。

●グループ討論「市民科学に求められるもの〜いま科学技術の何をどう変えるべきか」
 4つのグループに分かれて行ないました。市民科学とは何か、なぜNPOなのか、またその必要性はという点で、会社や企業ではできないことをNPOとして扱う意味があるのではないかという議論や、弱者が明確に存在している問題では支援するグループなどができ、問題提起がしやすいのに対し、顕在化していない問題ではそれが難しい。市民科学にはそれをいち早く社会に提起するという役目もあるのではないか、という議論がありました。問題の当事者であることにも気づいていないようなことが多いので当事者性を持たせること、気づかせることにも意味があるという意見や、他の人が言っていることを真に受けるだけではなく、自分自身でよく観察し、自分にあった方法を選んでいくことが大事であるという意見が出されました。

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