「暮らしの技 てんこもり体験」に参加して

平成16年度JST「社会技術」助成研究の中間報告 第5回

社団法人 農産漁村文化協会文化部主催
「食農教育講座2005」第2回「暮らしの技 てんこもり体験」に参加して
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  「食育基本法」が成立し、各地で食育に関する様々な取り組みがなされています。農産漁村文化協会では、教育関係者や農家、様々な職種の人たちのネットワークを構築し、教材や実践例の紹介などを通し、食育の推進を図っています。「食農教育講座」は独自の角度から暮らしの「知恵」や「技」を体験を通して学ぶプログラムで、長野県北安曇郡小谷村栂池高原にある「信州・つがいけ食農学習センター」で行われ、参加者の半数以上が教育関係の方でした。


● 8月9日(火)

 本澤渡さんから薬草のお話を伺いました。本澤さんは22年間にわたり全国の薬草を取り、商売をして培った知識をお持ちで、実際山へ散策に行き、生えている薬草について教えていただきました。中には、専門的な知識がなくても生活の中に取り込み、健康増進に役立てることのできる薬草もありました(例えばハコベは数ある薬草の中でも唯一の浄血作用を持っている)。薬草に限らず、生活の中で自分の健康を維持・増進できる知恵を持つことは必要なことだと感じました。そばうち体験では、そばうちの工程の中でも難しいとされている“水回し”を誰でも簡単にできる方法はないかと思案し、“水回し棒”などの独自の技術を開発した大久保裕弘さんに教えていただきました。簡単にできる工夫を試行錯誤しながら道具をつくりだしたお話を伺い、昔の人たちもこのように工程の本質を見極め、道具を作り出す工夫をしてきたのかと想像できました(大久保裕弘著『誰でも打てる十割そば』農文協刊を参照)。栂池センターでの食事は、センターの農園や参加者でもある農家の方が作った農産物、地元でとれた食材を使った料理で、まさにスローフード。おいしい料理のおかげもあり、参加者同士が講座に参加した想いを語り、各々が実践している活動の情報交換をするなど、交流が深まりました。


● 8月10日(水)

 雨のためプログラムは時間を変更して行われました。まずは、2グループに分かれ、ぼろ布を使ったぞうり作りとわらを織るわら細工作りです。ぞうり作りを教えてくださった方は、わらぞうりをほどいて作り方を調べたとおっしゃっていました。わらを編んでいく道具も持ち運びできるように工夫して作られていて、欲しいものや必要なものがあるときは、「まず作ってみる工夫をする、だめだったら買いにいく」という具合にしてみるといいのではないか、とおっしゃっていました。そうすると生活が愉しくなることでしょう。わら細工を作るときには、稲のお話を聞きました。稲には稲穂、藁、もみ、玄米、ぬかなど部分ごと、形が変わるごとに名前がつけられています。これほどの細かな命名は、稲がいかに重宝されてきたかを示している、と伺いました。雨がやんだので、一斗缶を使った竹炭作りと燻製作りを見せていただき、土の中にセットされている一斗缶炭焼き窯の仕組みと作り方を教えていただきました。竹の入れ方から着火の仕方、空気を調節するタイミングなどを伝授してもらいました。土の中に必要な空気が入るような工夫、煙を読んで火を消すタイミングなど、40回以上の試行錯誤の結果焼けるようになった技を教えていただきました。一斗缶を使った燻製作りは実に簡単な仕組みでできることがわかりました。随所に失敗しない、疲れない工夫がなされていました。目的を達成するために原理をしっかり理解して、工夫できることを熟考することは子供に限らず大人にも必要ですが、モノや道具が溢れ便利になっている分その機会が少なくなっているとも感じました。夕食を外で食べ、キャンプファイヤーをしながら振り返りとまとめをしました。その時講師の池田玲子さんからのお話で「今まで人から人へ伝承されてきたことが伝えられていない、今が正念場であり、このままだと消えてしまう」というお話が印象的でした。


● 8月11日(木)

 一晩冷ましていた竹炭の出来上がりを見た後、牛山栄世さんから「体験から学ぶことの意味」という講義がありました。子供に何かの原理を伝えようとした時、目に見えるものでイメージをわかせ、体験させることを目的とするのではなく、それをどう生活につなげるか、どう咀嚼し吸収するかということを意識してプログラムすることで、子供が興味を持てるような学びに繋げる必要がある、などの話がありました。今後、子供料理科学教室にも取り込んでいきたい視点だと思いました。

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