ナノテクリスク勉強会(2008年11月16日)
【今日のまとめ】
・STS学会報告(吉澤)
11月8・9日に科学技術社会論学会第7回年次研究大会に参加してきた感想。初日の最初に「市民社会の意思決定のための情報は誰が作るのか」というセッションに市民科学研究室の代表として発表・ディスカッションを行った。STS研究は政府の科学に対する「より客観的な」《対抗科学》を推進するための理論武装として使っている人が多いのでは、と過激に挑発したが、フロアからの反応はゼロだった。二日目の午後のセッションではSTS研究と政策研究を対比させ、政策研究は常に現実の問題と対峙していることに対し、STS研究は世界を引き受ける覚悟がない旨の議論を焚きつけたが、これも残念ながら燻り、鈍い反応に終わった。このセッションの最後に、研究技術計画学会とSTS学会の共催で来年2月に第4期科学技術基本計画についてのワークショップを開催し、最後に政策提言というか共同宣言を行う計画をしていると発表した。
・宇宙エレベーター会議報告(吉澤)
11月16日に第1回日本宇宙エレベーター会議に午前中参加してきた感想。基調講演の金子隆一氏は宇宙エレベーターの歴史として、吊り下げ型とタワー型の発展や、エレベーターの素材の研究の進展、エレベーター建設立地の検討、ランチ・ループ、あるいはスペース・ファウンテーションと呼ばれる噴水の原理を応用した流体を利用した建造物やOrbital Ring System(ORS)の解説などにより、想像力溢れるエレベーターのバリエーションを紹介し、大きな夢を語った。その後宇宙エレベーターコンテスト授賞式として、優秀作が紹介され、該当者が表彰された。有害廃棄物の廃棄や首脳会議場として、といったものから、水不足の解消や海中を利用したエレベーターの設計計画、さらにはSE(宇宙エレベーター)っ娘という美少女萌えキャラまで、非常に豊かな発想が印象的であった。さらに「世界初」のレゴクライマー競技会が開かれ、中高生10組の個性的なエレベーターが速さやデザインを競った。
STS学会との対比で言うと、こちらの方がSTSの姿として適っているような気がしたのと同時に、設立して1年あまりまでここまで大がかりな会議を開けるようになり、子供からお年寄りまで幅広い一般層を引きつけられるようになったことに対して、非常に羨ましく思った。レゴや宇宙エレベーター関係ベンチャーなど企業と上手に提携し、多くのSF好きのファンにも支えられているのだろうが、それ以外でも大学や海外の研究者、メディアを巧みに利用できている宇宙エレベーター協会からわれわれが学ぶべきところは少なくない。STS学会も、市民研の活動も、マネジメントなど企業マインドを持った者の助力を得る必要があるのではないかと話し合った。
・ナノフードTAの展開
ナノトライから得た経験をもとに考えると、単なる技術の社会的影響評価ということ以上に、もっと市民や消費者をうまく引きつける必要があり、また保守的な食品企業をどうやったら巻き込めるかというところに意識を据えることが欠かせないのでは、と議論した。
【その他】
・Frieve Editor
マインドマップのフリーソフトウェアFrieve Editorを江間さんが紹介した。ナノテク未来地図でやろうと思っていたことに非常に近いものを作ることができると驚いた。これからの市民研の活動の様々なところに活用できるだろう。
【スケジュール】
次回勉強会は来年1月の予定。