市民科学・リビングサイエンス|市民科学研究室

市民による学習、研究調査、運動の重層的な実現から
みえるもの (3/7)

4.市民科学研究室の活動(2)調査・研究部門

 市民科学研究室の調査研究チーム(「プロジェクト」と呼んでいる、以下PJ)は、一つのテーマに持続的に取り組みながら、その成果をふまえて省庁との交渉を行なったり、報告書をまとめて政策提言をしたり、学校や自治体と連携して新しい市民活動を提起したりすることを目指している。現在は「科学館PJ」、「電磁波PJ」、「科学技術評価PJ」、「生命操作PJ」の4つが活動している。さらにこれらの調査研究タイプのプロジェクトに準じる活動として「藤野に集うPJ」、「出前ワークショップ“科学技術と社会”」があり、前者は地域との結びつき、後者は教育の現場との結びつきを通して、STS問題をより広い層に伝えていく役割も担いつつある(表3)。

プロジェクトには、まだ基礎的な調査の段階にとどまっていて報告書や出版物の形でその成果を公表していないものが多いが、電磁波PJのように、新聞報道や学術論文発表や国際フォーラムの開催など実現しながら、省庁などと実際に交渉し、政策提言を行なっているものもある。電磁波PJは非専門家である市民が10人ほど集うチームだが、現在は携帯電話電磁波の人体影響を詳しく調査している。それと並行して2年ほど前から行なってきた東京タワーからの放送電波(高周波)、そして図書館などに設置されている「盗難防止装置」(BDS)からの電磁波(低周波)の計測活動は、私たちが決して微弱といえない電磁波に複合的に被曝していることを明らかにし、新聞紙上でも大きく取り上げられ話題を呼んだ。このプロジェクトについては、別の枠組みを用いた分析を後に試みる。

表3 市民科学研究室の調査研究プロジェクト(2003年4月現在、表1の取り組みの類型との対応についても言及している)


科学館PJ

各地に点在する科学館を市民と科学のよりよい接点を作り出すために活用する方法を探る。現在は、日本の科学館の問題点を具体的に浮き彫りにするために主要な科学館に対するアンケートを実施し、データベースを作成中。また、「生活と科学」をテーマに科学館の新しい機能を開拓する構想をまとめようとしている。
科学館を(1)を促進するための、あるいは(8)の機能をも一部担いうる場としていくための構想を提言し、具体化のための企画を実践する。

電磁波PJ

身のまわりの電磁波を実際に計測しながら、世界各国でなされている人体影響研究を広くレビューし、政策提言する。現在は、(財)消費生活研究所からの助成を受けた「携帯電話端末ならびに基地局がもたらしている電磁波リスクへの政策的対応に関する研究」に取り組んでいる。
電磁波問題において(4)の役割を担っている。

科学技術評価PJ

国が進める巨大な研究開発プロジェクトに対して、意思決定や資金の流れや内部的な“評価”といったことに市民の立場からどのように情報公開を迫り立ち入っていけるかを探る。現在は、経済産業省がすすめた「量子化機能素子プロジェクト」(2002年に終了)を分析中。日本の宇宙開発やナノテクノロジー開発の問題点の分析にも取り組んでいる。
(6)および(7)を確立していく上で不可欠な科学技術政策の分析と政策への市民関与の可能性の検討を行なっている。

生命操作PJ

生命操作技術やバイオビジネスが人間の命のあり方に投げかけている問題を整理し、市民が立つべき思想的なスタンスとは何かを考え、問題解決につながる政策形成に市民の意思がきちんと関与できるような方法を探る。
生命操作問題において(4)の役割を担うことを目指している。

藤野に集うPJ

神奈川県藤野町の住民の方々との交流を深めながら、藤野町を拠点として住まいや農業や食の実践を通して新しい持続可能なライフスタイルを模索し、そのライフスタイルに見合った科学技術の生かし方を考える。
地域コミュニティに根ざした(1)や(3)の活動の可能性を視野に入れている。

ワークショップ“科学技術と社会”

科学技術に関する様々な社会問題に対する意識を高めるために、議論と自己表現を取り込んだ体験的な学習プログラムを開発し実践する。
教育現場で活用できる(5)の方法を提供し、実践している。

「水と土の連続講座」
(2003年8月9月)

水と土に関して市民が知るべき基礎的な科学知識を集約し、マッピングした水と土の社会問題との関連を整理する。その作業を通じて、研究者や地域住民の注目すべき取り組みを見出し、広く市民に紹介する。
生活と極めて関わりの深い“水と土”について(5)を実施することで、(1)の契機を作ろうとしている。

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・リビングサイエンス:生活を基点に科学技術を
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はじめに
科学技術社会問題の解決におけるNPOの役割
市民研の活動(1)学習部門
市民研の活動: 調査・研究部門
市民研にみる「専門性」と「横断性」
社会問題解決のための4機能
市民科学研究室「電磁波PJ」の活動概要
4つの機能からみた電磁波PJの活動の分析
まとめ

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