市民科学・リビングサイエンス|市民科学研究室

月刊「市民科学」

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2008年11月発行の「市民科学」の第20号

科学研究はいかになされるべきか−排泄介護の事例

杉野 実

  私は大学卒業以来一貫して社会科学研究の道をあゆんできており、ほかの世界のことはほとんど知らないが、だからこそ余計に「専門研究者以外の一般市民による研究」という主題には強い関心をいだいていた。自分のことをふりかえると、ものを考えることが好きなので早くから研究者になろうとは決めていたが、それでも現実の社会を少しでも改善することにも貢献したいと思い、社会科学の分野を選んだものである。ところがこの世界に入ってみて、先輩研究者の姿勢に疑問をもたされることも少なくなかった。「好きなことをして給料をもらえる」というのは元来とてもありがたいことであり、幸運にもそのような立場におかれたのなら、社会に対するそれなりの責任を自覚するのが当然だと思うのであるが、そういう問題があることに気づきさえしないで、あたりまえのように研究をすすめるだけの人が多いように思われたのである。そういう状況に失望した私は、専門家以外の「一般市民」が研究を主導してこそ社会科学は発展するのではないかとか、これからの大学はあらゆる年齢・職業・国籍をもつ「市民」の解放区になるべきではないかとか、さまざまな方向に妄想をふくらませるようになった。こういう「妄想」が修正をせまられたことはすぐに後述するが、それでも今でも私は、家庭や職場や地域社会でいろいろな問題につきあたった一般の人々が課題を提起することにより、社会科学、さらには自然科学もふくむ学問諸分野はおおいに発展していくと考えている。【以下に続く】

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