市民科学・リビングサイエンス|市民科学研究室

月刊「市民科学」

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2008年5月発行の「市民科学」の第16号

中古民家主義への誘い

眞鍋じゅんこ(フリーライター)

 そういえば普通の景色の中にある普通の家の中身を、私たちは余り知らない。

 たとえば私たちは普段、何の気なしに洋品店で服を買う。でもその独特な店構えの仕組みがあることには気付いてはいない。銭湯のボイラー室は? 家族はどこに住んでいるのだろう? 何で古い柔道場は接骨院と一緒にあるのだろう? 疑問は次々に湧き起こる。  

 確かに全国各地の郷土資料館などが管理する「内部見学可能な古民家」は、あるにはある。でも生活は見えない。築100年経ってもびくともしない立派な庄屋屋敷や豪商の邸宅は、今流行の「古民家」としてもてはやされ、重要文化財の指定を受けて後世に残される。

 

だけど私等が馴染みの普通の家や古びた木賃アパートだって、立派に「東京暮らしの歴史」の一員ではないか。それなのにただぶっ壊されるのを待つばかりとは忍びない。そこで我々はそれらを「中古民家」と勝手に名付け、探っていこうということになった。


 東京の住まいは江戸時代を今なお引きずっていた。

 その前に少し基礎知識を学ばねばなるまい。

 東京の民家の歴史をおさらいしておこう。

  「ところで『民家』って何?」。


  いきなり立ち止まってしまった。別に建築家でも何でもない私たちは、まずそんな根源的な疑問を解くことから始めなければならない。 (続く…)

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