市民科学・リビングサイエンス|市民科学研究室

月刊「市民科学」

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2008年5月発行の「市民科学」の第16号

書評『食料の世界地図』

塩出浩和(城西国際大学・中国近代史)

食料の世界地図
エリック・ミルストーン+ティム・ラング著
監訳・大賀圭治、訳・中山里美+高田直也
丸善 (2005年10月、原著2003年)

 最初に手にとって、これはいい本だなあ、と感じた。読み進めるうちに、少し残念な本であることがわかった。だが、読み終えて、やはり必読の好著であると確信した。  食糧の問題が日本を、そして世界を賑わわせている。最近の話題でいうと、「毒入り餃子」・「爆食中国による高級食材の買占め」・「エタノール増産による穀物価格の上昇」などであろうか。これらの問題の後ろ側にひそむ食糧生産・流通の根本的問題について、豊富でカラフルな図表と簡潔でわかりやすい文章によって、「眼から鱗が落ちるように」わからせてくれるのが本書である。  たとえば、第26章の「フード・マイレージ」を読むと、毒入り餃子問題の本質は、「中国の食品加工工場の劣悪な衛生管理体制」や「一部の中国人が持っている強烈な反日感情」というよりも「食料の長距離輸送にともなって距離と時間に比例して増加する一般的リスク」であると考えたほうがわかりやすいということが理解できる。(…続く)

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