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月刊「市民科学」

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2008年3月発行の「市民科学」の第13・14合併号

【書評】『地域とともに、産み・育み・看とる』

尾内隆之(立教大学教員)

写真: 医療生協さいたま看護部編集委員会・編著
『地域とともに、産み・育み・看とる』
コープ出版2007年12月

 市民活動に関心を持つ読者の皆さんならご存知のことと思うが、医療機関の中には「医療生協」という形のものがある。生協法にもとづく住民(組合員)の自主組織として、生活協同組合が病院などを所有・運営するもので、医療のあり方を考える上で非常に示唆を与えてくれると評者は考えている。本書は、看護師のしごとを通してその実情を垣間見せてくれる、貴重な一冊である。

 

 折しも「医療崩壊」という言葉がメディアで盛んに取り上げられ、日本の医療体制が満足できるものでないどころか、先行き現状を維持できるかどうかという不安さえ広がっている。産科医や小児科医といった診療科において、あるいは過疎地域において顕著な医師不足。病院勤務医の過酷な勤務状況。公立病院の膨大な経営赤字……。挙げればきりがないが、ではいったいどうしたらよいのかという出口はなかなか見えてこない。そうした問題の深刻化をもたらした要因に、政府の医療制度改革の欠陥や、医療機関が直面する経済環境、あるいは医療関係者の姿勢といった、医療のいわば「供給」側の問題があることは間違いない。しかし要因の一端に、医療を受ける側が医療とどのような関わり方をするか、という「需要」側の問題もおおいにあるように思われる。評者が「医療生協」というかたちに関心を持ち、そこで日々営まれている医療のあり方に魅かれるのはそのためだ。医療生協も「生活協同組合」である以上、その基盤は、医療の受け手である組合員が単なる受診者ではなく、健康な暮らしを築くための取り組みに「主体的」に関わることだからである。

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