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月刊「市民科学」

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2008年3月発行の「市民科学」の第13・14合併号

「エンハンスメント」と言う名の「サイボーグ技術」

小野直哉(京都大学大学院博士課程)

写真: マッスルスーツの実演

最近「エンハンスメント」と言う、聞き慣れない言葉を耳にするようになった。「エンハンスメント:enhancement」とは「高揚、増大、増進」と言う意味の英語である。「エンハンスメント技術」となると、何かが「高揚、増大、増進する技術」となる。また、似たような言葉に「サイボーグ」がある。「サイボーグ:cyborg」とは、「サイバネティック・オーガニズム:Cybernetic Organism」の略で、人工臓器等の人工物を身体に埋め込む等、身体の機能を電子機器をはじめとした人工物に代替させることで、特殊な環境下でも生活できるように、身体機能の補助や強化を行った人間のことを意味する。元々米国の医学者、マンフレッド・クラインズとネイザン・S・クラインらが1960年代に提唱した概念で、当初は人類の宇宙進出と結び付けて考案されていた。そのため、米国のサイボーグ技術の研究は、NASAを中心に行われていた経緯がある。「サイボーグ技術」は人間の「エンハンスメント」を目的とした手段であり、現在では「サイボーグ技術」と「エンハンスメント技術」は同意語のように用いられることがある。また、「サイボーグ」はSF小説や映画で好まれる題材である。単に「超人」を登場させるための理由付けとして用いられる場合もあるが、「人間性の喪失」や「最先端の科学技術と人間の調和」と言った現代的かつ文学的・社会的なテーマを、「サイボーグとしての人間の存在」は「人間なのか、機械なのか」と言う極端な形で提示することが出来ることから、物語の主要テーマに関わる形で取り扱われることが多く、時には差別的にネガティブな意味合いを含んだ言葉として「サイボーグ」が語られることも多い。そのため、ネガティブなイメージを避けるために、今日では「サイボーグ技術」を「エンハンスメント技術」と言い換えて使用することもある。本稿では、「サイボーグ技術」と「エンハンスメント技術」は同じものとして扱う。(続く…)

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