市民科学・リビングサイエンス|市民科学研究室

月刊「市民科学」

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2007年7月発行の「市民科学」の第7号

書評 「JR福知山線事故の本質 企業の社会的責任を科学から捉える」

評者 桑垣豊 (近未来生活研究所)

 

この著書は、2005年4月25日のJR福知山線事故の本質を、技術経営の観点から分析したものです。 この本は、この事故に遭い大ケガをされた個人の手記と、事故発生の科学的原因を究明した部分の2つにわかれています。結論の部分で、この2つをふまえて、JR西日本のとるべき対応と、それに照らして現状の対策がいかに不十分であるかを明かにしようとしています。 個人の手記では、もっとも損傷のはげしかった事故車両2両目の乗客の目を通して、いかに悲惨な事故であったか、JR西日本の対応が不誠実であったかを描いています。 事故の科学的原因を究明した部分では、運転士が事故のおこった曲線区間で脱線や転覆のおきる限界速度を認識していなかったことが、この事故のおきた原因であるとしています。特に、国鉄時代に転覆限界速度を求める国枝の公式を定めた国枝正春氏に直接インタビューを行うことで、限界速度が時速106kmであることを明かにしています。なお、この本では「国枝方程式」としていますが、数学的には公式というべきであるので、ここでは「国枝の公式」としました。 結論では、まず、JR西日本の事故後の不誠実な対応を批判し、社会的に企業として生き残るには、被害者に対して法律の範囲内で最低限の補償しか考えていない現状を改めてるべきであるとしています。事故防止策としては、チーフ・サイエンス・オフィサーを設置して、科学的知識を経営に生かす道筋を築くべきであると提言しています。……(続く)

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